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プロフィール

赤嶺 淳

10年ぶりにホームページを一新いたしました。厄払いというつもりはありませんが、コロナ禍で変容をせまられた研究活動をうけ、心機一転、衣替えというわけです。

これまで海域世界研究を標榜し、「水産資源の保全と利用」について研究してきました。基本はフィールドワーク。犬も歩けば・・・・・・のごとく、調査にでかければ、なにかしらの発見があり、研究の広がりを実感できるものです。しかし、研究の深化という点では、物足りなさを感じていたことも事実です。

そんなモヤモヤ感を自覚し、路線修正へと舵を切るきっかけとなったのは、アナ・チンさんの『マツタケ』との出会いでした(いまふりかえっても、チンさんの教養あふれる語りと、計算しつくされた幾重もの仕掛けを、訳出しきれたかは疑問です)。「おなじモノをあつかっているのに、この『思考の深さとスケールの大きさの差』は、何なのか」。翻訳中、幾度となく自問したことです。

決定的な違いは、近代を近代たらしめているもの──資本主義──への洞察の有無にあります。わたしはモノの動きを追っかけることに精一杯だった(し、それを楽しんでいた)わけですが、チンさんが追求していたのは「モノを動かすシステム」なのであって、モノへの着眼はその手段だった、ということです。

世界の人類学研究を牽引するチンさんですが、それでもマツタケ研究に着手するにあたっては、一夏すべてを文献調査に充てた、と断言します。そんなチンさんの姿勢に学ぶつもりで、コロナ禍の2020年、わたしも「読む」作業に傾注し、研究を構想しなおすことにしました。

たとえば捕鯨。現在でこそ鯨肉消費をめぐる問題──ときとして伝統か否か──として議論されていますが、世界史的には鯨油という産業革命をささえた商品を生産する基幹産業でした。その後、石油化学工業が発展するとともに灯油や潤滑油としての需要は蒸発したものの、20世紀にはいるとマーガリンや石鹸の原料としての需要によって息を吹きかえします。さらには液体である鯨油をマーガリンなり石鹸なりに固形化する過程でグリセリンが生成され、そのグリセリンがダイナマイトの主原料であるニトログリセリンを派生するというように、鯨油は軍事的戦略物資でもあったのです。

鯨油はヤシ油やパーム油、大豆油などと競合関係にありました。そんな鯨油の強みは、(南極の夏がおわる)北半球の春に大量供給されることにもありました。興味深いのは、戦前期、日本は鯨油をヨーロッパに輸出する一方で、国内消費用油脂の約8割を「生命線」たる満洲産の大豆油に依存していたことです。この事実は、なにを意味しているのでしょうか? まだ展望は開けていませんが、捕鯨問題群の研究を深めることによって、富国強兵・殖産興業のスローガンのもと、近代化を追求してきた日本国家の成りたちを解明することができる、と踏んでいます。これまでのナマコ研究とクジラ研究を、大地にも目配りした「地球大の資本主義」の視点から捉えなおすこと、それが今後の課題です。

2021年1月

赤嶺 淳 Jun Akamine

【学歴・研究歴】

1996年11月  Ph.D.(フィリピン学,フィリピン大学大学院人文学研究科)
1997年4月 日本学術振興会特別研究員(PD,国立民族学博物館)
2000年4月 国立民族学博物館・COE研究員
2001年4月 名古屋市立大学・人文社会学部
2013年8月 日本財団アジア・フェロー(マレーシア)
2014年4月 ⼀橋⼤学⼤学院・社会学研究科
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鯨を生きる——鯨人の個人史・鯨食の同時代史
マツタケ——不確定な時代を生きる術
ナマコを歩く―現場から考える生物多様性と文化多

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